価値の生成と消失 - 実物資産の消失 - マテリアル、用役

マテリアル

 マテリアルが経済的取引の対象ではなくなるタイミングは、どのタイミングでしょうか?経済的取引の定義を確認しましょう。マテリアルの経済的取引とは、マテリアルの「所有権の移転」でした。マテリアルを「人間社会の外部から調達」したとき、マテリアルには、所有権が発生し、経済的取引の対象となりました。ということは、経済的取引の対象でなくなるときは、この逆のプロセスと考えられます。つまり、マテリアルを、何らかの形で人間社会の外部へ放出し、所有権を放棄したときです。

 たとえば、ゴミを焼却処分し水や二酸化炭素に変えて環境中に放出する。落し物をしたが探し出すことをあきらめる。洪水や津波によって流出した家財の回収をあきらめる。などがあげられます。

  マテリアルそのものは、ほとんどの場合において物理的に消失したりはしません*1。しかし、人間社会の外部に放出されたマテリアルは、経済的取引の対象から外れ、消失したものとみなされます。

用役

 用役の場合も、環境に放出されるという点では似ています。LNGや都市ガスは、水と二酸化炭素として環境中に放出されます。熱は、排熱として環境中に放出されます。電力は、送電ロスや消費の過程で熱として放出されます。上水道は、汚水や排水として家庭や工場から排出され、下水処理場で浄化して環境中に放出されます。

*1:ただし、例外はあります。核分裂反応における質量欠損がそうです。