【閑話休題】政府総債務残高(対GDP比)とは結局何か

質問:政府総債務残高(対GDP比)とは結局何か

回答:自国通貨建てが外貨建てかで判断が異なる。
 ここで、極端な2つの事例を考える。

(1)債務が外貨建てであり、内需が無視できるほど小さい場合

 内需が無視できるので、GDPとは外需のみである。つまり輸出額−輸入額を意味する。また、外貨建てであるので、貨幣の発行主体は国家の外部に存在する。例えば、世界銀行などが相当する。

 この状況は、家計の借金のアナロジーで理解できる。家計は日本円を発行できない。日本円の発行主体は家計の外部にある。これは、国家と外貨の関係と同じである。

(2)債務が自国通貨建てであり、外需を無視できる場合
 この場合は、MMTの考え方が適用できる。
 自国通貨建ての場合は、GDPは経済的主体の粗利益を意味する。ここで、経済的主体とは国家ではなく、国家の内部にある企業などを指す。また、粗利益とは国家の粗利益ではなく、国家内に存在する企業等の粗利益である。
 また、自国通貨建ての場合、政府の総債務残高は、現在までに発行してきた貨幣の総量に等しい。
 家計に例えた場合、自国通貨に該当するものは日本円ではない、家計内でしか通用せず家計内にその発行主体をもつ貨幣である。例えばモズレーの名刺が該当する。そして、政府総債務残高は今までに発行されたモズレーの名刺の総量である。

 つまり、政府総債務残高(対GDP比)とは、モズレーの名刺で計算された粗利益に対する発行済みのモズレーの名刺の比率を意味する。