【閑話休題】フリーランチは存在するか?

 存在する、が私の見解です。

 ここで、フリーランチを定義します。フリーランチを、購入者が実物資産を取得しているにも関わらず、生産者に対して、いかなる形でも貨幣という形で対価を支払っていない経済的取引、と定義します。貨幣という形で対価を支払わないのに、実物資産を受け取る場合があるのでしょうか?ある。というのが、私の見解です。それは、

 

  自然から実物資産を取得する。

 

 場合です。

 人間社会全体が、自然に対してフリーランチしています。

 例えば、魚釣りで釣り上げた魚、です。あなたが、川へ魚釣りに出かけて魚を釣り上げたとしましょう。そして、その魚を誰かに売ったとしましょう。このとき、所有権は誰かかへと移転し、あなたはその対価を得ました。ところが、最初の魚を釣り上げた段階では、自然から魚を取得した(所有権が移転した)にも関わらず、あなたはその移転の対価を支払っていません。

 同様なことは、自然から取得した実物資産全般に言えます。

 マテリアルでは、石油、石炭、天然ガスなどの化石性鉱物資源。鉄鉱石、ボーキサイト、銅鉱石などの金属資源。リン鉱石石灰石などの非金属製資源。大気中から取り出す窒素ガスや希ガス。ガス田から取得するヘリウムや、脱硫装置から取得する硫黄。水産資源。天水農業における雨水。

 用役では、太陽光発電に使われる太陽エネルギー。風力発電の風力エネルギー。水力発電の水の位置エネルギー

 リソースによるサービスでは、海路の交通費。

 情報では、動物の形態などの意匠です。

 これらの実物資産を利用するに当たって、人類社会は自然に対して、貨幣で対価を払っていません。当たり前です。自然は、人間の作った貨幣を受け取らないからです。