財政支出と実物資産 - 「消費」と「投資」

 まず、財政支出によって生成された貨幣を投資に使うか、消費に使うかが考えられます。さて、経済的主体とは、その経済的主体の外部から実物資産を調達し、内部で実物資産の変換を行い、別の実物資産として外部に出力する機能を持つものです。ここで、ある経済的主体が、ある経済的取引を行うとき、次の条件のうち1つ以上を満たす経済的取引を、「消費」と呼ぶことにします。

 

・経済的取引の目的が、経済的取引それ自体であり、実物資産の出力を目的としない場合

 一般的な娯楽や気晴らし等が該当します。私たちが映画館で映画を楽しむとき、楽しむ以上のことはしません。感想やレビューを書いて別の実物資産や貨幣を得ようとはしません。あくまでも、映画を観賞するためだけに、映画館へ足を運びます。

 

・経済的取引の目的が、経済的主体それ自身の維持である場合

 食事等が該当します。食事はもちろん気晴らしや楽しみにもなり得ますが、食事を摂ることの第一の目的は、自身の身体を維持することです。

 

・出力された実物資産が、負の価値を持つ場合

 内燃機関を内部にもつ経済的主体における燃料の消費等が該当します。内燃機関は、ガソリンという実物資産を、二酸化炭素という負の価値を持つ実物資産に変換するからです。

 

 また、ここでは、ある経済的主体が、ある経済的取引を行うとき、その経済的取引の目的が、次の条件のうち1つ以上を満たす経済的取引を、「投資」と呼ぶことにします。

 

・出力する実物資産の生産量の向上を目的とした場合

・出力する実物資産の価値の向上を目的とした場合

流入する外貨の増大を目的とした場合

・経済的主体が外部から調達する実物資産の削減を目的とした場合

・流出する外貨の減少を目的とした場合

・経済的主体の内部からの実物資産の調達を増やすことを目的とした場合

・需要と供給の一致を目的とした場合